皆様、こんにちは。税理士の三田洋造です。
今回は、法定相続人の数と基礎控除額について書いてみたいと思います。
相続税の基礎控除額
平成27年(2015年)1月1日以降の相続から、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。
相続税の基礎控除額は、現在次のようになっています。
「3000万円+法定相続人1人当たり600万円」
例を挙げます
- 被相続人Aには、配偶者B(妻)がいました。子供はいませんでした。
- 被相続人Aには、配偶者Bと長男Cがいました。
- 被相続人Aには、配偶者B、長男C、長女Dがいました。
- 被相続人Aには、配偶者B、長男C、長女D、次女Eがいました。
- 被相続人Aには、配偶者B、長男C、長女D、次女E、養子Fがいました。
- 被相続人Aには、配偶者B、養子F、養子Gがいました。
- 被相続人Aには、配偶者B、長男C、養子F、養子Gがいました。
注)長男C、長女D、次女EはいずれもAの実の子供であるとする。養子は普通養子縁組の養子であり、且つBの実の子供ではないものとする。
以上の7例と民法上の相続人、相続税の基礎控除額の関係を示すと次のようになります。
民法上の相続人 | 法定相続人の数 | 基礎控除額(万円) |
B | 1 | 3600 |
B、C | 2 | 4200 |
B、C、D | 3 | 4800 |
B、C、D、E | 4 | 5400 |
B、C、D、E、F | 5 | 6000 |
B、F、G | 3 | 4800 |
B、C、F、G | 3 | 4800 |
相続税の計算をする場合、次の4項目については、法定相続人の数を基に行います。
(1)相続税の基礎控除額
(2)生命保険金の非課税限度額
(3)死亡退職金の非課税限度額
(4)相続税の総額の計算
通常、法定相続人の数=民法上の相続人の数となるのですが、相続人の中に養子がいるときは、法定相続人の数に入れることが出来る養子の数には制限があります。
- 被相続人に実の子供がいる場合、1人まで。
- 被相続人に実の子供がいない場合、2人まで。
したがって、上の例で言うと、
- 例の⑤は実の子供がいて養子は1人だけなので、養子は法定相続人の数に含まれます。
- 例の⑥は実の子供がいないので、養子は2人とも法定相続人の数に含まれます。
- 例の⑦は実の子供がいるので、養子2人のうち、法定相続人の数に入れることができるのは1人のみとなります。
養子がいるという家庭はあまりなく、ほとんどの家庭では配偶者がいるかいないか、子供(実子)がいるかいないか、いるとしたら何人なのかによって簡単に「法定相続人の数」が分かりますし、法定相続人の数が分かれば基礎控除額も分かります。
今回の例では配偶者と実子と養子という例しか挙げませんでしたが、民法上の相続人に該当する人が誰なのか、また法定相続人の数が何人なのかについては、それぞれの家庭によって異なってきます。ぜひご自身の家庭の場合はどうなるのかを把握しておくことをお勧めします。
最後に、基礎控除額がわかり、被相続人のおよその財産がわかれば、相続税の申告が必要か否か(あるいは、申告をしておいたほうが安全か、全く不要か)の判定がほぼ可能になりますが、そのテーマについてはまた別の機会に書きたいと思います。